D.Gray-man



 

寝ぼけてる?(A.Version)

 

 ラビは目を疑った。
 どうしてこの少女がこの部屋にいるんだろうか、と。
 確かに部屋の鍵を渡したのはつい先日。任務に向かう前の日。
 今は任務に出て次の日の夜。もう夜も遅いからと朝アレンの所へ行こうと戻って来たら、この状況。
 
 『遠慮なく来てもいいよ』と言ってたのは半分冗談。半分本気。

 最も来られたら、そっちの保障は無いと軽く呟いて見せたのだけれど。
 ラビはふとその時に真っ赤になって見せたアレンの表情を思い出した。あの分ならまだこの部屋にやって来るのは暫く先の事だろうと思っていたのに。 
 アレンという名前の少女は部屋の一つしかないラビのベッドで眠っていた。
 幸いラビが『パンダじじぃ』と呼ぶブックマンはコムイの所で当分戻ってこない。部屋は別々だが、続き部屋のすぐ隣だったから一瞬焦った。
「ら・・・び」
「ん?呼んださ、アレン」
 しかし顔を覗き込めばその目蓋は閉じられたまま。
 一体いつからこの部屋にいたんだろうか?
 考えるが、ラビ自身は昨日から近くの都市に任務で出ていた為それを推測も出来ない。
 おそらくジェリーかリナリーあたりならわかるかもしれない。
 何しろアレンは一食だって決して抜かないから任務もなく教団にいる時は、食堂に必ず3回以上姿を見せる。
 アレンは寄生型である為に、食事でそのイノセンスを維持しているようなものだからだ。 
「逃げて…食べちゃ…だめぇ」
 夢の中でも自分が登場してくれるのは嬉しい。思わず目尻が下がる気持ちだ。頬だってきっと緩んでる。二人以外誰もいない部屋の中なのに、照れて眠っている少女から視線をそらしてしまった。
 しかし夢の中まで食べ物に関連するものとは、些か苦笑してしまう。
「何の夢見てるんだか…」
「らび……?うさぎさんが…早くぅ」
 ラビの呟きに、アレンが反応したのか半分目蓋を開けて彼の方へ手を伸ばす。
 しかし腕は彼に届くことなくベッドの上に落ちた。
「?寝ぼけてる?アレン」
 お兄さんの理性試しているのかなー?
 恋愛にひどく怯えるこの少女を陥落させるのに使ったラビの労力は自分でも褒め称えたいくらい。それがまた試されることになるなんて。
「襲っちゃってもいいかー?」
 これで覚醒しなければアレンが覚醒するまでイタズラ程度のことはする気持ちで。
「ん・・・?」
 アレンはゆうるりと目を開けた。しかしその表情はまだ眠りの淵にあるもの。
「目が覚めたん?」
「らびー」
 アレンは寝ぼけている所為だろう、その両腕をラビの首に回した。ラビは内心喜んだが、相手は半覚醒。軽く抱きとめるだけにとどめた。
「うさぎさんに食べられちゃったのかと思いましたー!よかったぁああ」
 ラビはラビでもうさぎの『ラビット』じゃないのに。しかも自分がうさぎに?
「…んなことあるわけないっしょ?」
 アレンの言葉はまだ夢の中のものを引き摺っていたのだけれど、俺はここにいるよ?と少女に言いたくて、ラビはその暖かく柔らかな身体を抱きしめ、安心させてやることにした。



 だって夢の中だって一緒にいてやりたいだなんて傲慢なこと。













あはは、甘い甘い。

 

 

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