D.Gray-man


『一方通行的恋心』




 たかが三年、されど三年だ。
 この子供より長く生きている年数。

 けれど分かったつもりなだけだったと知らされるのは、現在のラビにとっては少々酷だったかもしれない。

 気持ちはアレン・ウォーカーに傾きかけていたから。

「ラビ、どうかしました?」
「・・・」
 どうかしました?じゃないだろう、アレン。
 子供子供と思っているのに、なんて自己犠牲の激しい精神の持ち主なのだろうと思った。

 ラビはアレンの傍に降り立ちながら、槌を元のサイズに戻した。
「お前なぁ・・・もうちょっと器用な戦い方ってできねぇんか?」
「え?・・・いけませんでした?」
 おいおい。いけませんでした?でもないだろう、それ。それじゃあっというまに命落とすよ?
 お兄さんとして、、、だけじゃなく心配するだろ、それじゃ。
 リナリーが怒るのも無理ないさ。

 経験値がちょっとだけ先輩なラビだって、アレンの危なっかしい戦い方はすぐわかった。
 神田だったら、この場で舌打ちしていたと安易に予想出来るほど。

「いけないつーか・・・見ていて危なっかしいんさ」
「・・・そうですか、でも無意識だし・・・気をつけたいとは思いますが・・・」
 これは一長一短で、そう簡単になおせるものではない。何しろ戦闘というものは理屈じゃない。
 反応は身体が覚えている。交わし方、防御、防御から攻撃へ移る動きは頭では制御しきれないだろう。

 あのAKUMA。
 いくらかすり傷と言っても一歩間違えば大怪我になる攻撃だった。
 アレンだから助かったのかもしれない。

 おそらくは悪運の強い持ち主だから。

 何を言っても今はもう終わったことだ。
 無駄だと判断したものの、今言ったことで少しはアレンの寿命を延ばすことが出来るかもしれないと一縷の望みを持ちながらラビは近くの瓦礫に腰を下ろした。お互いぼろぼろのよれよれで立っているのもやっとだったが、アレンはまだ気を抜いていない。
 ラビも気を抜いているつもりはないが。
「もういい。アレンこっちおいで?」
「?なんですか?」
 アレンは言いながらも素直に言うことを聞き、ラビのすぐ近くまで歩いて来た。
「ほら、疲れただろ?ここに座れって」
 そう言ってラビが示したのは彼の膝の上。
 瞬時に理解したその意味にアレンは真っ赤な顔を示した。
「なっなに子供扱いですか?!ソレ?!」
 そんなトコ座りませんよ!
「あ。やっぱダメ?」
 ラビはその反応に、眉尻をさげた。元よりすんなりうまくいくとは思ってないのだ。それよりもそんな顔が見れただけでも良しとしなければ。
「ダメに決まっているでしょう?こんな時に!」
「んーじゃあいいや。じゃあここに立ってくれるさ?」
 こんな時じゃなきゃ、いいのだろうかというツッコミは今おいといて。
「・・・変なことしないですか?」
「んーどうだろっ・・・って冗談だから早まるな!待てって!」
 ラビの言動を一つ一つ真面目に受けて怒るアレンは素直だ。
 ますますからかいたくなる。

 が今はそれをセーブしつつアレンを引き寄せた。もう手の届く距離まできていたから。
 そしてそのままアレンの腰に腕を回した。
 いつもながら『細ッせぇなぁ』と思いながら。
「ラビ?どうしたんですか?」
 何もそれは珍しいことではなかったけれど、ラビがアレンの胸に抱きつくなんて行為は日常茶飯事。ただし人目を憚ってかアレンはなかなかそれを許しはしなかったが。
「アレンが死んだら俺も後を追うさー」
「何言っているんですか?ラビは『記憶する者』たるブックマンでしょう?」
 あなたは死んではいけないんですよ?後継者を育てるという役目もまだ担っていないのに。
「そりゃそうだけど、まだ『Jr.』だし。何より今はアレンが心配なんさ」
 アレンが欲しいから、とは決して言わない。言ってはいけない。
「・・・貴方は生きなければならないんですよ?」
 そんなこと言っちゃダメです。
「・・・解ってるさ」
 本当はそんなこと。

 ラビにとっての世界の中心がアレンになりつつあるなんて、アレンは知らないし、アレンもそれは同じだったが、決して表に出すことはなかったから。

 なんてすれ違いな二つの心。


「僕の後なんて絶対追っちゃダメだよ、ラビ」
 まあ生き返らせようなんて思うより数倍マシな考えかもしれなかったけれども。

 



END

ちゅーもなにもないお話ばかり最近書いてますね。

まだ微妙に身体の関係なんかないスキンシップ大好きラビに心を許しつつあるアレン?で。

 

 

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