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結局ラビはAKUMAを倒して生き残っていたファインダーを全員集め、一部催眠に掛かっていたファインダーには、意志の確認をした。
そろそろ夜明けが近いらしい空が白み始めていた。
『サリ』はあくまでもアレンを自分の敵と見ていて、AKUMAに催眠を掛けられたわけではなかったらしい。 あくまでも自分の意が正しいと貫く彼をラビは冷たく見下ろすだけだった。
けれどエクソシストのアレンを傷つけた罪は結構な重さだろう。追って教団から処罰が下されることを伝えると苦虫を噛んだような表情をしていた。
さてアレンの元へ向かおうとして踵を返した先に見つけた姿はラビを酷く驚かせた。
「…アレン!?」
「らび…?」
洞窟の入り口近くまで来ていたアレンの姿がそこにあって、ティムはそれを止めようとしているのだろう、一生懸命髪を引っ張っている。ソレ以上いくなとでも言っているのか。
ラビは今から駆け付けようと思っていただけに慌てた。何しろあの傷では歩く事は出来ないと判断していたから。
「ラビっ…良かった」
ラビを見つけたアレンは、その無事な姿に安心して力を抜いてしまったらしく膝から身体を落としそうになった。
「アレンっ…無茶しやがって」
ラビは慌てて頽れるアレンを支えあげた。その時片手に水ではない何かぬめったものが触れて、己のを見つめた。傷口が開いたのかもしれない。
「げ・・・」
それを見てしまったラビは咄嗟にアレンの身体を放り出しそうになるが、寸前で思いとどまった。
己の手に着いていたのはアレンが流した血液。一部、変色してしまっているが紛れも無い血。
ラビは初めその血液の多さに、信じられない視線を向けた。
そして口をついて出るのは叱咤の言葉。
「馬鹿アレン!待ってろって言っただろーが!」
「…すみません…中々戻って来ないから…心配になってしまって…」
このままではいけないと、ラビは残っているファインダー達に簡単に伝えるとアレンを抱いて鎚で飛び上がった。向かうは設備の整った病院。
「アレンはさ、俺の事信用してないワケ?」
「え?」
アレンの反応はラビの予想とは違っていて、言ってから後悔した。
なぜならいつものアレンだったら「やだなぁ。信用しているに決まっているじゃないですか」とか簡単に笑顔で切り返されそうなのに。
今日のアレンは一言声を発した切り、口ごもってしまった。
やはり同じ教団の仲間だと思っていた彼等の裏切りがアレンの感情を揺らめかせているのか。
病院に着いて手当を済ませたアレンに、ラビは事の次第を話して聞かせた。その間アレンは無表情でラビの報告を聞いていて、最後に「そうですか」とだけ呟いた。
もし彼等の裏切りで傷付いているのだとしたら、今の言葉は無神経すぎるだろう。
「悪い…今の聞かなかったことにしー「信用というのはよく解りませんが、別のものでなら表現出来るかもしれません」」
ラビは前言撤回し掛けたが、アレンが言葉を遮って答えに近い台詞を吐き出した。
「へ?」
「白状しちゃいますけど、僕はラビに憧れてるんです」
「あああああっ…憧れ!?お前がっ!?」
思いがけない言葉にラビは顔を赤く染めて訊き返す。「それって告白!?」「そう聞こえるんでしたらそうかもしれませんね」短いやり取りを交わしながら、ラビはアレンと見つめあった。
「正確には…神田とラビの関係に憧れ…ですけど」
「へ…ユウと俺?」
ちょっとだけ期待していたからその言葉には期待外れだった、とはラビは口に出しては言えなかった。これ以上何を期待するのかラビにも解っていなかったりするが。見た目思いっきり脱力してみせたりするが、アレンはそんなラビの心情には気付かず、さらに追い打ちを立てるかの言葉。
「だって仲良しでしょう?」
「…そう見えるん?」
「ええ」
神田とは昔馴染みで腐れ縁って奴だったりするし、確かに他の教団員の奴らよりは彼とは打ち解けているとラビも思っている。つい先日だってアレンについて彼と話していたくらいだ。
その内容はちょっとアレン本人には聞かせられない内容。
「まぁ〜そう見えるのも無理ないかもしれないけどさ〜」
「?」
ラビはチラリとアレンを見るが、その意図には気付かない。アレンの事だからラビがアレンをどう見ているかなんて知りもしないかもしれない。
「…」
ラビはアレンに気付かれないように細くため息を吐き出した。
アレンの告白は嬉しい。思わず美人のお姉さんのナンパ(!?)に成功した時くらいには。
恋の告白だったらもっと舞い上がっているかもしれない。
そう気付いてしまったら、自分のこの判別出来ない感情の正体も解った。
ラビはこの白髪の少年の事をかなり気に入っているらしい。
『自分はノーマルの筈だったんだけどさ』と小さく声にならない呟きを発して。
「アイツとは妙にウマが合うっつーか…あまり気を張らずに付き合えるからなぁ…」
「僕も二人みたいな仲になれる相手が見つかるといいんですけど」
「…うーん…」
もしそんな相手いたら、俺嫉妬するかも?
ラビはアレンの台詞を聞きながら渋い表情を返した。ラビ自身アレンの「お兄ちゃん」を演じているつもりがつもりじゃなくて、それ以上の立場が欲しくなってしまって、戸惑う。
「ラビ?」
「なに?」
「さっきからどうしたんです?」
「なにが?」
ラビの返事の言葉少なさに、アレンは首を傾げて彼を見つめた。
「「なにが?」じゃなくて…ラビ、何か変ですよ?さっきから…生返事だし…あっ僕の発言に気を悪くしちゃいました?」
「!?」
切り出しておいて、こういう時は聡いから扱いに困る。
いっそのこと何も知らない、鈍い子供であって欲しかった。
けれどアレンが自分に寄せているのは「恋慕」ではなく「憧憬」。
「んーお兄さんとしては満足なんだけど、俺としてはちょっと物足りないかな、と」
「?はあ…」
「俺としては、アレンとは別の形で付き合っていけたら嬉しいなってこと。あ、意味は解んなくていいからさ」
「…はぁ…」
アレンがもう少し自分に歩み寄ってくれる頃に、それとなく告白してみようかとラビは妥協し、今はこれで我慢することにした。
だってやっぱりキレイなお姉さんや女の子が好きなのは変わんないし。
この先この感情が不変とも思えないし。
End.
そしておまけ。(以下反転でドゾ)
「なあアレン戻ったらお菓子あげるさ」
「はい?ーえ、ていうか何ですか、ソレ」
すっかり忘れている様子のアレンにラビは脱力してみせた。
「え?え?」
「まあいいさ。アレンだしな」
「?どう言う意味ですか?」
「そういう意味」
「訳が解りません」
アレンは頭上に『?』マークを飛ばして問う。
「ハロウィーンのやり直しさ?ちゃんと仮装してさ」
ラビの返答にアレンも漸く合点がいった。
「…なんかそれ恥ずかしい気がしますが…」
だってハロウィーンは先日終わったのだ。さすがにアレンでもちょっと遠慮したいかな、とは思ったが、やけにラビが嬉しそうなので「まあいいか」と思うことにした。
「じゃあワンホールのガトーショコラのケーキもつけて欲しいです」
今度こそEND.
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