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ジャンプ本誌の派生ssなので
本誌読まない派でネタバレダメな方は読まないで下さいね
OKて方だけスクロールしてくださいm(。・ε・。)m
「うっ・・・また・・・」
復活した左目が決まって夜になると動き出す。それはアレンの睡眠を妨げ、まるでAKUMAの元へ導こうとしているかの如く。
このままでは周りに気づかれてしまうと、アレンは急いで寝所を抜け出した。途中ベッドの布団を引っ掛けて転びそうになったから誰か目を覚ましてしまったかもしれないが、とにかくそこから抜け出すことが先と、後ろを振り返らなかった。
昨日もその前の日も、アレンはこうやって寝所を抜け出しているからそろそろ気づかれてしまうだろうという危惧は今のアレンには無かった。
というよりも、アレンは今疼く左目を抑えようと必死になっている。
無駄だと知っていても。
夜明けまで続く鈍痛は脳に達し、夜明けと共に去る。そして去った後、アレンにようやく安眠が訪れる。
時折聖堂の中でそのまま眠ってしまったこともあり、皆に心配された。なんとか誤魔化したけれどリナリーやラビあたりには気づかれているかもしれない。寝る前の先ほども注意を受けたばかりだ。
やっと人気のない所まで辿り着くと安堵と同時に痛みが襲って来た。
「ぅくっ」
今日は一段と左目が勝手にレンズを突き破ってどこかへ飛んで行きそうな勢いだった。
きっと今の自分の姿はとても他人には見せられたものではないだろうとアレンは脳の隅で考えながら左手で目を押さえ込む。
そして念じる。収まれ!収まれ!今はダメだ!
そういったところで左目だけは、『呪われた眼』の所為かアレンとは別の意志を持って行動するからアレンは常に気を抜けないでいる。
クロウリー城ではラビにも気味悪がられた。
それ以来ずっとアレンは自分だけが見えるように左目の力を「セーブ」していた。いち早く察知し、左目が全開になる前にAKUMAを倒してしまえば彼等が魂を見ずに済むと知ったから。
AKUMAの魂が見えるのは自分だけで十分だ。
もしかしたらその影響もあるかもしれない。結局『常に』ということは24時間制御しなければならないから。
「っ・・・」
右眼に映るのは紅い左腕。所々崩れていて、今にも折れそうな程。そういえばこの腕も痛みを発していたのを思い出したが今は左目の方が強い痛みを発していて、気づかない。
まるで自分は弱いのだと言われてる気さえする。
「痛っぁ・・・」
アレンがそんな事を考えていた所為だろうか、痛みが急激に増した。
思わず声が漏れて膝の力が抜けた。
どうか痛みが誰にもバレませんように、ラビにもリナリーにもクロウリーにもブックマンにも。
誰にも。
・・・・ッ。
「!?」
アレンがそうやっていつものように夜明けを待とうとしていたら、足音が聞こえてきた。
身を隠そうとしたが右も左も隠れるところはどこにもなくて、アレンは窓の明かりが差し込まない場所に移動した。
「アレン、いるんだろ?そこに」
「っ」
何故『彼』なのだろう?よりによって。
アレンは『彼』の声に身体を揺らしながら、どうすべきか迷った。
出てこんな姿を晒したら、多分『彼』は怖がる。こんなの自分だって嫌、なのに。
『嫌』だなんて、きっと更に呪いは進化するから『思うだけ』に留めている。
「アレン・・・怖がらないから・・・出て来いよ」
アレンが居る場所は暗がりだったが、『彼』の立っている場所は窓からの明かりが差し込んでいるから顔が見えた。
その表情を見て、アレンは更に迷った。
そんな置いていかれた犬みたいな顔して。
『彼』の表情を見てしまったら、何故か痛むのも忘れて呟いてしまった。
「・・・ダメ、です・・・今は」
「っ!?アレン!」
ラビは更に悲痛な、というのに相応しい表情でアレンの名前を呼んだ。
しかしアレンは暗がりに身を置いたままラビを見ている。左目を抑えた右目だけで。
「今は…ダメですよ…」
そしてそのまま後退しようと足を後ろに引いた。
同時にラビが身を乗り出して来る。
「待てっ!」
「来ないで…っ」
痛みは依然あるから、今ラビに近付かれたら絶対気付かれる。
だから気付かれないように、ラビの声を撥ね除ける。
本当は今にでもその胸に飛び込みたいけれど・・・だから、出来ない。
「アレン!何でっ・・・」
「っ!?」
ラビの脇をかすめて何かがアレンの胸に飛び込んで来た。
「ティムキャンピー!?」
そういえば急いで出て来たからベッドの隣に置いて来たのを思い出した。
「ティムキャンピーの奴、部屋で飛び回ってて…だから気付いた」
「…」
ティムキャンピーは心配して駆け付けようとしてきたらしい。胸の位置から離れようとしなかった。
「ご免ね、ティムキャンピー…」
「アレン…」
ラビはアレンがティムキャンピーから視線を離さないのに気付き、一歩踏み出す。
「っ来ないで!」
「っ!?」
しかしアレンはすぐに気付き、叫ばれたラビはぐっと足を止めるしかなかった。
「何でさ!ティムキャンピーは良くても俺はダメなんか!?」
そして思わず本音が飛び出た。本当ならラビだってアレンを抱きしめたくて仕方がないのに。
「っ…!」
アレンもその叫びに思わず返答に詰まった。そんなこと答えられない。答えたら彼はきっともっと近くにやって来る。
なんとか止めようと答えを探す。
しかし彼が納得のいく答えなど初めからありはしない。
ラビが焦れて叫ぶ。
「何でそうやって自分一人で背負いこもうとするんさ!」
「…」
アレンはラビの言葉に黙ってしまう。どう言った答えを求めているのかアレンには分からないから。
助けてなんて、言えないから。
手を伸ばす術を知らない。
「アレンはずっとそうやって生きてきたんか?だとしても今は俺達がいるだろ!なんの為の仲間さ?」
「ラビ…ごめん。ごめんなさ…ぃ」
ラビの気持ちは嬉しい。けれどアレンは本当は助けて欲しいと叫んでも無駄だと知っているから。本当は手を伸ばしてその胸に飛び込みたいと思っててもそれ以上に今の姿を見れらたくなかったから。
「アレン…」
暗がりではっきり見えないアレンの顔だったが、俯いて肩を震わせている姿に、ラビは我慢出来なくてその近くに素早く走り寄り、その身体を抱きしめ、肩に顔を埋めた。アレンの胸に収まっていたティムが潰されては堪らないと逃げ出す。
「らっ…ダメです!離れて下さい!!」
アレンは驚いてラビの身体を押し返そうとするが、片手では到底無理だった。
「そんなに見られたくないから、見ない!だからっ…」
「…ラビ」
アレンはびくともしないラビに観念して力を抜いた。しかし左手は未だ左目を隠したまま。
「だから、一人で我慢するな。悲しくなる」
手を差し伸ばせなくても、心の叫びはラビに聞こえていたのだろうか?
アレンは少しずつ引いて行く痛みに、気を抜いてしまった。
本音がぽろりと出る。
「本当は…恐いんです。こんな姿イヤなのに!」
「…アレン」
一度吐き出せば、後は堰を切って溢れ出るだけ。
「けれど口に出したら、もっとこの目が異形になっていくみたいで恐くてっでも誰にも言えないっ」
「…もういい、アレン」
ラビの腕に力がこもる。
「ラビっ!怖いんです!本当は、凄く凄く怖い!」
「うん」
いつのまにか、左目は元通りに治まっていた。アレンが『イヤ』と口に出した所為かどうかは分からないが。
左手に感じていた感覚が消え失せたのはアレンにも分かった。
「僕が…僕じゃなくなっていくようで…本当はっ…らびぃ…」
やっとラビに縋り着けた。
「うん。分かってやれなくてご免。けど傍にいることは出来るからさ…」
「うん…傍に居て…傍に居て下さい…」
アレンはラビと離れたくないと、泣いた。
ラビはそんなアレンを深く強く抱きしめて離そうとはしなかった。
アレンが大丈夫と言ったから、ラビは漸く顔を見れた。
「ずっと傍にいるよ、アレン」
「ラビ…ありがとう」
夜明けがやってきて、もう少しで旅立ちの時間まで二人は抱き合っていた。
エンド
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