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このお話は全くパラレルです。
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新たなる生活の始まり
「紹介するさ。こっちがミランダ。わけあってコムイって奴の紹介でウチで働いて貰ってる。ミランダから仕事の一通り教えてもらうといいさ」
「よろしくね。アレンちゃん」
彼女は黒髪に細身の女性で、目の下に隈があるのが特徴的だった。
「はっはい。宜しくお願いします!」
アレンは初めてのことづくしでやや緊張しながら返事をした。
「処でアレンちゃんてなんで『僕』称なのかしら?差し支えなければ教えて欲しいのだけど?」
「あ。それは俺も気になったさ?」
『僕』でも十分可愛いとは思うさ?は、ラビの口から出なかったが。
「・・・『僕』は、養父(とう)さんと一緒に旅芸人で生活している際、危険だから養父さん以外と話す時はそうしなさいって。でもいつのまにかこっちで定着しちゃったみたいで・・・今さら戻すのも変だし。それだけなんです」
恐らくマナは純粋無垢なアレンを守るべく「少年」のフリを演じさせていたのだろうと納得出来た。
そしてラビは今さら強引に連れてきたクロスに感謝する。養父も亡くなって身寄りがないのでは放っておかれたら一生会えなかったかもしれなかった。
「アレン・・・苦労したんさね」
ラビはアレンの肩に手を置いて項垂れてみせた。
「本当にね・・・大変だったのね・・・私も結構な人生歩んじゃってるけど」
なぜかミランダはハンカチで涙を抑えている。どこまで想像したのだろう?
「大丈夫ですよ。今となっては思い出深いものですから。ミランダさん、早速仕事教えて貰えますか?」
「ええ。こっちよ」
ミランダに一通り屋敷の案内と仕事を教えられながらアレンはふと通路にあった姿見に映った自分を見、立ち止まった。
改めて自分の容姿を見て奇異だと感じた。
白い髪、銀灰色の瞳、左目に走る傷のような痣(痣か傷かはアレンにも分からない)。全て物心つく前についていたものばかり。長袖に隠した赤い左腕もそうだ。便宜上、火傷と説明はしたものの、引き連れる感じはないから実際には違うのだろう。マナ=養父の話では出会った当初からそのような容姿だったがマナだけは普通の子供と同じように接してくれた。
それだけがアレンの救いだった。だからてっきり他の人はマナと同じようには見てくれないと諦めていたのに。
頬に走る傷のことはラビやミランダは触れてこない。きっと気を使ってくれているのだろうがアレンには嬉しくもあったが心苦しくもあった。
変に誤解されたくもないから。
「・・・」
養父を失って。
自殺しようとした自分を引き止めたクロスにつれられて(しかも気を失っている間に!)、いつのまにかここで住み込みで働かせてもらえることになって。
養父を失った時、全てを本当に失ったから残っていたのはこの身一つだけだった。だからあのまま放っておかれたらあとは死が待っていただけだったのに。
「アレンちゃん?」
「あ、はい。今行きます」
そういえば。
ミランダはどうみても成人女性だったし、それなりに経験を積んでいるらしい。
年齢制限はないのだろうか、とアレンは考えた。アレンはこう見えても年齢より幼く見えてしまうことがよくある。ミランダに案内されてたどり着いた先にラビの姿が有ったので試しに聞いてみた。
「ああ。年齢は特にこだわらないさ。なにせ、家の事情が事情だから。もっぱら紹介で雇う回数が多いぐらいだし」
ラビの話すところではここでは貼り紙や募集の類いはいっさいしていないのだという。
「そういうの出すのをじじいは許可してないみたいだし。給料は良くても口が堅い人を見分けるのは結構面倒なんさ。女ってのはおしゃべりが大好きだしな」
だから紹介のみにしてるらしい。
では自分は?クロスという仮面で赤髪の男性に強引に連れてこられた身分の自分は?
「アレンは一目みてダイジョウブだって思ったんさ」
変な確信だとアレンは思ったが、そう思ってくれたのは嬉しかった。
それは他人から無条件の信頼を寄せて貰っていると思って良いのだろう。
「だから出来るだけ長く働いてくれな。アレン。できればずっといて?」
にっこりと人懐っこい笑みを浮かべたラビはアレンにそう告げた。
「が、がんばります。期待に添えるように・・・」
アレンはその笑みに恐縮しながら答えた。本当にずっとここで暮らして行けるのなら、生きるのも悪くは無いと思えて来る。
少女はその日、ここで生きて行く決意をした。
終り
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