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ラビが街に着いたのはアレン達が街に入ってから数時間後。
「こりゃまた、ハデに壊されたなぁ…」
自分もまた豪快に建物を壊す方ではあったものだが、目の前の原因はAKUMAだ。
「ティムキャンピー、アレンはどっちさ?」
派手に倒壊した建物の間を通過しながらラビは頭上のティムに訊ねる。
自分達はまだ鎚の上。一旦街の手前で降りたものの、歩くには足場が悪すぎて再び飛び乗った。
依然アレンは見つからない。ティムも前を見つめたまま。ラビは金色のゴーレムの視線(?)と指先の先の方向でアレンの居場所を判断した。
「まだ真っすぐ先か?にしても、AKUMAと全然遭わないなんてどうなっているんさ?アレンが全部倒しちまったとかか?それともどこかに移動しちまったとか?」
真実は解らないが、偶然にもラビはアレンと同じように気付いた疑問を口にしていた。
やがてラビの視界に「湖」が映る。
「やけにあの周辺だけキレイなまま残っているさ?」
コムイの受けた連絡では『AKUMAの群れに街を出る事が叶わなくなったファインダーと彼等の持っているイノセンスの保護』を頼む内容のもの。
そもそも『群れ』という連絡なら、エクソシストを最低でも二人は派遣すべきで。
しかし大元帥の命令で街にいるのはレベル1ばかりだからとアレン一人で行かせることになった。
初めラビはコムイの判断に疑問を持った。
それは街に来て確信に変わる。
「こんなに静かなのはおかしい・・・」
ティムの指示で湖の手前で鎚から降りたラビは周囲の静けさが尋常でないことに気付いた。
月の姿が湖に映し出されていて、わずかな月明かりがラビとティムの存在を現していた。
先ほどから忙し無くティムがラビの髪を引っ張っている。
「そっちの方か?」
ラビの問いに金色のゴーレムは羽ばたいて行った。その後を追いながら、団服と彼の特徴である白髪を探す。あれだけの色なら他と比べても目立つ筈だから。
こんな時はティムの探査能力は役に立つ。感謝しつつ見失わないように後を追い続けた。
やがてティムが一か所に留まって羽ばたいているその下に、ラビも白髪の姿を見つける事ができた。
湖の端。水の切れ目。数ある岩の一つに身体を預けていた。
「アレン!?おいっ!」
駆け寄ってみて、息はあるが意識がないことを知る。そして身体は冷えきっていて、まるで氷のようだ。きっと湖の水分を吸えるだけ吸い込んだだろうことはアレンの倒れていた位置で解った。
どこか怪我をしているのかもしれないが、月明かりだけでは解らない。更に自分らは闇にまぎれてしまう漆黒の団服を着ているのだから見た目すぐには判別出来ない。
「くそっ…」
ラビはリナリーの勘が外れなかったことが悔しかった事とか、自分の胸騒ぎを素知らぬフリをしていたことなど思い出しながら、アレンの身体を引き上げた。兎に角これ以上冷えないようにと。
下手をしたら命をこのまま落としかねない。
「っ…冗談じゃねぇさ…」
一瞬でもその考えに捕われ、身体の芯を凍らされた気分に陥ったラビは、無理矢理その考えを追い出した。
「失ってたまるかよ…」
アレンを失うなんて、一瞬でも考えた自分を叱りながらどこか暖をとれる場所を探した。
ラビの視界に入った一つに反対側の岸にある洞窟らしき場所。
他に身を隠せる所も見当たらなくてラビはそちらに足を向けた。
早く白い子供の手当をすべく。
「…で…普通……ないか?」
「?」
街の人間の会話かと思った。
洞窟に近付くにつれ、声がラビの耳に入ってきた。しかしそれはどこか聞いたことのある人物の声だった。記憶から引っ張り出せばとても身近にいる人物。
「あの呪われたエクソシストもバカだな。そもそも『AKUMAの攻撃が無いルート』なんて存在する筈ないだろう?あったらさっさとこの街出てるって」
「!?」
ラビの耳に入って来たのはこの街に派遣された筈のファインダー達の会話だった。
気付かれないように中を覗き込めば数人のファインダーの服装をした者が輪を作って話し込んでいた。
内容はどう聞いても穏やかではないもの。しかもアレンについての事だった。
今直ぐ出て行って真相を確かめたかったが、それは踏み止まった。
今腕の中にいるアレンのこともある。
今AKUMAに攻撃されてもまともに反撃できやしない。
「だから言ったのよ。・・・・・・なんて存在しないって。」
「ああ。奴は疑いもしなかったしな」
『…どういう事さ?』
ラビは彼等の会話の内容をまとめようと頭を働かせるのだが、うまく脳が回転してくれない。
アレンが信じようとしている人間の彼等が何をしているのか。
もしかしたら、アレンがこんなことになっている原因は彼等の所為?
その時、隣にある身体が少し動いた気がしてラビは我に返る。
今の会話を聞いていたとしたら、アレンはどうする?
「アレン?」
隣を見、呼びかけると今度ははっきりと身体が動いた。
「…らび…?」
弱々しい声が返ってきて、アレンが意識を取り戻したことが解った。
続く・・・>>5
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