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ひとまず洞窟から離れた場所に移動して、その身を静かに下ろして顔を覗き込む。
下は草地。
月明かりの下では青白い顔しか見えず、早く暖を取らせてあげたいが、いつAKUMAが現れるか解らない状態のままでは応急処置も気休め程度にしかならない。ティムも先ほどから心配したままアレンの周りを飛び回っている。
「ダイジョブか?」
「…だ…じょうぶです…っ!ラビはどうして、ここに?」
「ちっとも大丈夫そうじゃないさ。俺はこいつをお前に届けに来たの」
ラビが指し示すのは、依然アレンの周りを飛び回っているティム・キャンピー。アレンもティムの様子に心配されているのが理解出来た。
「すみません、わざわざ…」
「いいって。怪我は?」
「だいじょうぶ…です…」
白い子供は見た目に反して頑固なところがあるから、もしかしたら怪我を隠している可能性も捨てきれない。現に痛みをこらえた表情なのはラビにも一目瞭然だ。どこか痛むのか服を握りしめて痛みを押さえ込んでいる、そんな表情。
なので質問のしかたを変える。
「んじゃ痛い所はどこさ?」
「全身…ほぼかな?…湖に落ちた際…あちこち打ったらしくて…」
アレンの返答はラビの欲しいモノでは無い。しかも誤魔化しているのか隠しているのか苦笑した表情にラビはため息をこぼした。
拉致があかない。
「一体何があったんさ?」
兎に角確認したかった。アレンの身に起きた事を。
事と次第によっては早急に教団にいるコムイに報告しなければならない。先ほどのファインダー達の会話もある。
「それは…」
アレンはラビの問いに、視線を逸らして言い淀んだ。何かを隠しているのはこれで明か。
「…」
アレンの性格を考えると、味方に攻撃されても自分には話せないのではないかと思う。
それどころか彼等を許してしまうのではないかとも。
だったらラビが先に言ってしまった方がどんなに楽だろう。アレンがそれを認めれば良いが。
「兎に角お前の傷の手当だけはさせろよ。まだ死ぬ気じゃないんダロ?」
「…」
「なあ、アレン?」
しかし確認出来ていない今は、迂闊なことも言えず、ラビは手を差し出すだけにした。
結局ファインダーに刺された傷の手当をしてもらうが、傷の理由をアレンは話そうとしなかった。
ラビも訊かなかったからだが。
沈黙に、居たたまれなくなったアレンが先に口を開いたのはここにいない人物達のこと。
「あの…ラビ、ファインダー達は…?」
「…気になるんか?」
裏切られているってのに?と、ラビは喉から出掛かった言葉を飲み込んだ。アレンの傷は明らかに刃物でザックリやられた痕で、AKUMAの仕業でないことは一目瞭然。その傷口からはまだ新しい血が流れていた。早めに教団に戻るか医者に診せる必要があったが、このまま大人しく街を出れるとは限らない。
「ええ」
ラビにとって、今一番の優先事項はなによりもアレンだったのだけれど、そのアレンに言われてしまえば無下にするわけにも行かなかった。
アレンは自分よりもファインダー達を心配するのだ。
例え、裏切っていた人物を問いただすことはあっても責めはしない。
ラビにはそれが歯がゆくてならない。 まるで自分は信用されていないような錯覚を覚える。
「解った。ここで待ってろよ。様子を見て来るから」
「お願いします、ラビ」
力なく微笑むアレンにはティムが着いているから大丈夫だ。
そう判断して、ラビはファインダー達がいる洞窟へ向かった。
もし彼等の中にAKUMAが居なかったとしても、ただじゃ済まされないことを告げる為にも。
「さあて、どうするかな」
教団の掟次第だ。
続く・・・>>6
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