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「ラビさん!?」
「よぉ…何そんな驚いた顔してるんさ?そんなに俺がいるのが不思議?」
入り口に立っていた人物の肩を叩いて、真正面からラビは洞窟へ乗り込んで行く。そこに立っていたのは顔見知りのファインダーだった。月明かりの下でもそれが解った。
ラビに対するファインダーの対応はどこかぎこちなさを感じ、疑問が確信に変わるのに時間は掛からなかった。
元より先ほどの会話でラビは彼等に失望していたから。
「いえそんなことないんですが、どうしてここへ?」
ちょっとだけ目が泳いでいる彼とは何度か任務で一緒になった事がある。
そしてアレンを連れて来た人物だとコムイから名前を聞いて記憶している。
ちょうど良いと、ラビは思った。
アレンには悪いが彼等をこのままにするわけにはいかない。
「ちょっとアレンへ忘れ物届けに来たんさ、アイツどこ?」
にっこりと。けれど威圧感を忘れなかったラビの雰囲気に、「サリ」は生唾を飲み込んだ。
ラビの雰囲気は今までの記憶の中のどれにも当て嵌まらない。そしてその威圧感に彼は飲み込まれた。
「アイツって…ウォーカーさん、のコトですか?」
「そうだよ。何処にいるんさ?」
二人の会話を聞き付けた他のファインダー達がぞろぞろと入り口近くへやって来た。
AKUMAが集まった街だという報告だというのに、不用心なまでの行動。
ラビはあまりにも解り過ぎる彼等の行動に怒りを通り越して呆れた。
やはりアレンは貶められたのだ。そう思うと再び怒りが沸き上がって来るから不思議だ。
自分は何にも影響されないと思っていたのに。
「ラビさん…アレン・ウォーカーについてご報告したいことがあります…」
そんな中ファインダーの一人が進みでて来てそんな台詞を吐き出した。彼等の中では一番低い背で、女性。いつものラビだったら目の色を変える程の美女だったが、そのナリからか先ほどの会話からかラビはいつもよりも厳しい表情で対峙した。
「報告?」
この上まだ誰かを貶めようとするのだろうか?ラビは一瞬鎚に手をかけた。
「アレン・ウォーカーはAKUMAを率いてこの地を去りました」
「去った?」
彼等はアレンを殺したつもりらしい。しかしアレンとて一人のエクソシストだ。現にラビが保護していまは草葉の陰で休んでいることだろう。
その『嘘』にラビは先を促してみた。どんな罠を張っているのか。
「去ってどうしたんさ?」
「…去って…取り残された私達は今後の事について会議していた所だったのです」
一瞬、ラビの反応に戸惑いの色を瞳に浮かべたが、すぐ言葉を続けた。
それは当然の事。ラビは彼等を信じていない。
「で?」
ラビはまたも先を促す。女性は中心的存在らしい。ラビのまっすぐな視線に戸惑いながらも言葉を続ける。
「それで…私達は、教団に連絡をいれる相談をしていたところでした。でもちょうど良い所に来ました。これでやっとこの街から抜けられる」
女性のファインダーはそう言って笑みを浮かべた。その笑みに周りのファインダー達も安心した笑みを浮かべた。
ただ一人違ったのはラビ。
「嘘さね」
「え?何を…?」
ラビはこの中で唯一、笑みを浮かべていない。
「アレンがAKUMAを引き連れてこの街を立ち去ったって?俺を騙すんならもっと立ち回りうまくやんないと。なあ、『サリ』?」
声を掛けられて真っ青になった彼はラビから後ずさる。
ラビにはもう誰がアレンを傷つけたかも解っていた。どう考えても彼しかいなかった。
「ラビさん…何言ってるんですか?そりゃ信じたくないのは解りますけど、俺達はこの目で見たんですよ?彼がこの街に集まったAKUMAを連れてどこかへ立ち去るのを…」
「それこそ嘘さ。いい加減にしようぜ?」
「サリ」の言葉はどこか現実味に欠ける。ラビは確信を持って告げた。
その台詞に過剰に反応したのはもちろん「サリ」自身。
「嘘じゃない!アレン・ウォーカーは千年伯爵と通じてるってもっぱらの噂だ。それにノアの人間と接触しても生き残った!何よりの証拠だろ!」
ふざけるな!!
「そうです。あの白いのはきっと「ノア」の一人です」
「サリ」に合わせる声は女性のもの。ラビは視線を彼女に移した。鎚を静かに取り出して後ろ手に構えた。
「その根拠のない言葉はどっからやってくるんさ?」
なあAKUMA?
「ラビさ…何言って…」
今度は女性側が真っ青になって後ずさる。彼女の目の前に突き付けられたのはラビの所持しているイノセンス。
「お前が『AKUMA』だっていうのは顔見て直ぐ解ったんさ。だってお前もう一年前死んでるんだぜ。…なぁ?ーーー…?」
ラビの口から出たのは女性の名前。
「!?なんでバレてるの!?」
ラビのくり出した攻撃を寸前の処で躱しながら女性は逃げまどう。逃げながら転換(コンバート)をしつつ反撃する。
周りにいたファインダーはとばっちりを食らいたく無いとばかりに二人から避難した。
「へっ…バレてないとでも思ってた?俺の記憶と情報量ナメんなよっっと!」
「くそっ…」
「しかしやられたさね。アレンが寄生型だから、AKUMAの直接攻撃じゃなくて人間を操って殺そうとしていたなんてさ」
その言葉と裏腹に、ラビの目は笑っていない。むしろ怒りを抑えている顔だ。
対するAKUMAは嘲笑っている。
「もういいわよ。彼等用済だし。これでいいでしょ?」
ざ・ざ・ざ…ざしゅっ。
ラビと反対側にいたファインダー達はAKUMAの攻撃にあっという間も無く声を無くした。
「…っ!!!」
それは本当に容赦もない攻撃で、ラビが動くより早かった。
彼女の言葉にラビは抑えていたはずの血が上るのが自分でも解った。
それが解ったのは、どこか離れた所で自分を見つめているもう一人のラビがいるから。
「ふざけるなよ…アレンがどんな思いでー」
「そんなの知らないわよ。私は与えられた命令を言う通りに行っただけなんだから。第一私一人でエクソシストを消すなんて方法、これしか思い付かなかったのよ」
AKUMAに命令出来るのはAKUMAという兵器を従える上の『ノア』だけ。その命令の意味までは知らないだろう。AKUMAには必要ない。
「…そうかよ。だったらこっちも遠慮はいらねぇよなぁ・・・?」
「ふん。そんなのもとから不要じゃない」
ラビの目の奥にチラついた暗い光にAKUMAは気付くことはなかった。
続く・・・>>7
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