D.Gray-man


真っ暗闇の中(3)




 
 その屋敷は夫婦二人で暮らすにはいささか広すぎる土地だった。
 郊外で暮らす夫婦にそれが訪れたのは一人息子が無くなって間もなく。
 それがおおよそ一年前の出来事だというのだから、噂が広まるのは然程時間が掛からなかった筈。なのに黒の教団まで伝わるのが遅くなったのは屋敷の主人が露呈を恐れた所為と考えられた。
 初めは探索部隊(ファインダー)のみ送られたが一人も帰って来ないのを危惧してエクソシストの三人が送り込まれる事になった。

「おいラビ。確かこの家の子供は亡くなった筈じゃないのか?」
 扉を先に開け、一人先立って行く神田は背後をついてきたラビに訊ねた。
「ああ。もう一年も前の話だろ?それがどうかしたんか?」
 振り返った先に暗闇に溶け込む寸前のラビの姿が浮かぶ。いくら暗闇といっても松明のお陰で近くにきたラビの顔がはっきり見えた。
「だったらなんでおもちゃは散乱してるわ、ベッドは乱れているんだ?」
 神田の言葉にラビが彼の肩ごしを覗き込んだ。
「・・・ほんとだ。えーと、夫婦が恋しさのあまりそっとしてあるとか?」
「バカか?一年も前に無くなった子供の部屋をそのままにしているなんて正気の沙汰とは思えねぇな」
「ユウ!」
 言い過ぎだと思ったラビは神田の発言を嗜める。言ったところで聞き入れてはくれないが。
「どちらにしろ、ここには俺達以外にも誰かがいるってことだな。しかも生活の形跡がある」
「!!」
 神田がベッドの乱れた場所を触れてそんな台詞を吐いた。確かにあまりに不自然だろう。
 1年も前に亡くなった子供の部屋を散らかしたまま放っておくなんて普通ならしない。
 せめて奇麗に片付けていつでも子供の為に残しておくなら理解できるかもしれない。
「アクマ・・・の仕業さ?」
「考えられなくもないな」
「じゃあもしかしてアレンがそいつと一緒って可能性も考えられなくねぇ?」
 考えられる場所は全て探してこの部屋に行き着いた。あと残るのはそれくらいだ。
「そうだな。そのモヤシがいればアクマの探索が楽だったかもしれねぇが」
「・・・」
 あのアクマの素の姿を見るアレンの左目。しかしアクマと一緒の線が濃厚ではそれも無理だ。
「さっさとアクマを探すぞ、ラビ」
「ああ」

 真っ暗闇の中、探索が続けられた。



 続く→4へ
 

進みが遅くて済みませんデス。

 

 

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