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アクマは何を考えているのか解らないが、ラビと神田の目の前から突然姿を消した。
分が悪いと考えたのかもしれないし、気まぐれでかもしれない。
どのみちチャンスと思ったラビはアレンにすぐさま駆け寄った。
「アレンっ!」
丈夫な筈の団服は酸で溶かされたのかぼろぼろになっていた。
ところどころただれた皮膚が痛々しい。左腕の箇所からは血が流れ出している。
ラビは傷に触れないように身体を抱き起こす。
「っ・・・ら・・・び?」
瞼を開けたアレンはうっすらと汗を帯びていた。触れても解る程に身体が熱い。
「大丈夫か?ずいぶん酷くやられたな」
「・・・っ大丈夫です。それよりも聞いて下さい。子供がアクマだってことは二人も解りましたよね?」
でなければこの部屋に戻ってきたりはしないだろうとアレンが考えた上での話。
「ああ。さっきその証拠らしきモンを書斎で見つけたさ。それがどうかしたのか?」
そこへ神田もやって来て、アレンの様子を見て盛大に舌打ちをしてみせた。アレンもさすがに苦笑してみせる。そして口を開く。
「ええ。あのアクマの正体が解ったんです」
「・・・この屋敷の一人息子の正体か?」
神田が勘付いたのか先に口を開いた。アレンは頷く。その折に傷がズキズキ痛み息を詰めたが、まだ話すことはあると再び口を開く。
「その息子さん、モナクをアクマにしたのは・・・実の母親だったんです」
「じゃあ今シューレン氏の奥方ってのは・・・?」
「実の母親じゃ、ないか・・・チッハナっからあいつは嘘をついていたってことかよ!」
神田は身近に有ったチェストに蹴りを入れていた。
シューレン氏に怒りをぶつけているのか、嘘を見抜けなかった自分に怒っているのか。
「モナクは話してくれました。彼は奥方に虐待を受けて食べ物もろくに与えられず死んだと。けれど死んだ彼を実の母親が生き返らせてくれた、と」
アレンは沈痛な表情でぽつりと話す。アクマの言葉を思い出しながら。
「実の母親は今までどこにいたんだ?事実関係がはっきりしないな。お前の目でもそこまでは見抜けないのか?」
「僕に見えるのはアクマの本体と声が少し聞こえるだけです。ただあのアクマは女性の姿をしてました。おそらくシューレン氏とあの女性の間に生まれた子供がモナクであることは解ります」
「今さらここを出て事実を確かめようにも、無理っぽいな」
「アクマを倒すのが先だろう。どのみちアクマを倒さないことにはここから出れないんだ。その後イノセンスを回収してさっさと事実確認でもすればいい・・・が、モヤシ」
神田はそこまで一気に言い、アレンの胸ぐらを掴む。
ラビが止める間もなくアレンの首元が締めつけられた。
「ユウ!」
「・・・そんなナリで俺達の足を引っ張るなよ?俺達は慈善事業をしている訳じゃねえんだからな」
「・・・そうですね。足は引っ張らないようにしますよ」
アレンも傷が痛いはずなのに、にっこり微笑んでみせた。意地だけは人一倍強いのかもしれない。立っているのもやっとだろうに、ラビの差し出された手をやんわりと断って立ち上がった。
「行きましょう」
続く→8へ
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