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陽炎のようにはっきりとしないそれは
「おい、キリがねえぞ。ユウ、そっちはどうさ?」
「チッ…たいした数じゃねえだろ。前の街じゃ倍はいたぜ?」
ラビの弱音とも言える台詞に盛大な舌打ちをして返したのは今回のパートナーの神田。
二人ともファインダーとも逸れてしまい、街の中央でアクマ達に囲まれていた。
アクマのレベルは雑魚ばかりだったが、それでも数が多ければ捌き切れないのを見越しての数を配置されたのか、それとも自然に増殖して行ったのか。
どちらにせよ、このアクマを壊さない限り、街から出れそうになかった。
「強気さね、ユウは」
「下の名前で呼ぶんじゃねぇ!何回言ったら覚える?」
神田は近付くアクマを六幻で斬りながらラビに抗議する。二人の距離はまだある。
「え〜?いいじゃん。俺達友達じゃねぇ?」
「いつ俺がお前のダチになったんだ!?」「んー?出会った時から?」
「そういう誤解を招く発言はヤメロ!この前それでモヤシと喧嘩したばっかだろーが!」「そうだな。アレは痛かったさー」
二人の手は止まらない。しかし口も止まらない、それは戦いなれているから。しかもパートナーがお互いのクセを知っているからならでは。
「けどあんなんくらいでアレンが怒るとも思わなかったのが原因さねー」
「はっ!お前はモヤシを甘く見過ぎてるぜ?あいつは変に意固地だからな。それくらいでも怒る」
「よく知ってるさー。俺ちょっとばかし、ユウに嫉妬するさー」
「五月蝿い!お前は少し黙れ!」
ラビと神田の会話はエスカレートしていき、レベルアップをして知能をつけた一部のアクマが二人の会話にぶち切れはじめた。
「お前ら真面目に戦え!」
アクマが逆ならまだしも、エクソシスト側がこんな状態なのは前代未聞の事態かもしれない。
最も、二人にとって今の会話は至極真面目だったから、怒鳴ったアクマは二人の次の標的になった。
「「五月蝿い(さ)(んだよ)!!」」
空はそろそろ夕闇の降りる頃。茜色に染まった上空を仰ぎ見、ラビは神田に訊ねる。
「ユウ、何体まで数えたさ?」
「知るか!けどお前よりは壊したと思うぜ?」
二人は瓦礫に身体を預けたままだ。
あれからずっとアクマを壊し続けて、もう手の感覚が無くなりかけた頃に目の前が開けて、大量のアクマを壊し終わった事を知った。
「負けず嫌いさー。ユウは。アレンもだけど」
「…アイツはモヤシだからな」
ラビの言葉に意味不明な答えをする神田に、苦笑する。
「なんなんさ、それ。意味わかんねぇー」
ラビは二人でアレンの話ばかりしていることに気が付いて、無性にアレンに会いたくなった。
あの胸の暖かくなる笑顔で出迎えて欲しかった。早く本部へ戻ろうと思った。
「さー帰るさ」
ぐっと身体を起こし、団服についた埃や汚れを軽く叩き落とした。
「…そうだな…おいっっ後ろっー!」
立ち上がり、歩き出そうとした神田の声に、ラビは振り返る。
ラビの瞳に映るのは倒したと思った筈のアクマ。
続く→3へ
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